VEGEしょくどうの料理係=yoyo.が“
食べれるワークショップ=いろxいろ まん”で参加した
『さかえdeつながるアート』(下記の告知参照)にて、
フリーペーパー制作やお寺での演奏会の主催、
古民家の再生など地元を拠点にしたきになる活動をしている
鎌倉の“ルートカルチャー”という団体にであいました。
彼らの中には、”食べれるジャングル”という畑を耕す人がいて、
彼はパーマカルチャーを参考にしつつ、
いろいろな野菜や果物の木を育て、
それを食べて楽しく暮らしている、
というので訪ねてみることにしました。
11月おわりのある晴れた日、
ベジしょくどうの2名(yoyo.、オグラ)&
常連のお客さま3名(ショーンさん、ダリルさん、アーガさん)は
鎌倉駅の近くのパンやさんParadise Alleyを出発点にして、
鎌倉山のてっぺんにある畑へとてくてく向かいました。
畑を切り盛りしているのは『生意気』というアートユニットのひとり、
David Duval-Smithさんです。
デイビッドさんを以前に見かけたのは西麻布のとあるイベントスペースです。
今では、用事があればたまに東京へ行きつつ、
この山で植物と戯れる暮らしが中心となっています。
以下、私に代わっておぐらさんより報告です!
((以上 前置き:yoyo.))
はい。オグラです。
そんなわけで鎌倉山へ向かったのですが、坂を登っているあいだに、(写真ではそうでもないのだけれど)空と同じ色をした富士山が、はっきりと見えました。もう1週間あまりで日本を発ってしまうという女の子にこれを見てもらえて、いきなり幸運なすべり出しです。

初めて逢うデイビッドさんは、とてもフレンドリーでした。彼の着古したジャージの腕には、赤い糸でぐるぐると波縫いの模様が入っていたのですが、その縫い目がずいぶんきれいにそろっているので、まずはそれに釘付けになってしまいました。
さんさんと太陽の光を浴びる縁側に、ピクルスだのお茶だのパンだの柿だのが並び、みんなでおしゃべりしました。デイビッドさん、銀行に預けられたお金は自然を破壊するし格差を広げるし戦争をするしろくなことにならない、ここに住めばお金なんかなくても幸せになれる、などとおっしゃってました。

「それにしてもパーマカルチャーの講座ってなんであんなに高いのかしら。それに、実践するのにはすごくお金がかかるでしょう。いろんなものを植えなきゃいけないし、なにを飼うとか、こんな道具がいるとか、揃えるのがすごくたいへん」
オーストラリアからやってきた女の子、アーガが言いました。
するとデイビッドさん、「ここでならそんなにお金はいらない。生活すべてに関わることだから、ある程度はお金もかかっても一度購入すれば一生利用できるのだから決して高くはない」、というような答え方をされていました。
次に、デイビッドさんの部屋(中心に太い木が生えている!)に移り、スライドショー方式で『生意気』の植物を使った美しい作品、これまでのイベントや植物を育ててきた場所などの写真などを、解説付きで眺めました。蜂を飼うことの大切さや、葉山の土地つき古民家で畑を耕すお友達の話など、すてきな情報満載でした。
そしてようやく、畑へ。
まず形が、日本の畑としては見慣れないもので、それ自体大きな作品のようです。レモンやキャスター(油の採れる植物)など、ポイントとなる背の高いものを中心に植えて、通るための道を決めた後、丸い形に耕して畑を作っていました。

竹を使ったドームやら柵やらがたくさん建てられていました。『生意気』の相棒、マイクさんがドームを作るのが大好きで、中でお茶ができるようになってたりして、心地よくしつらえてありました。竹ドームはすぐにできる、ということなのでどのくらいかかるか訊ねると、3人でやって1日くらい、とのことでした。
それから、苗の植え付けにとりかかりました。
まずは土起こしから。力持ち(?)の2名はがんがん、大きな竹の根っこを掘り起こしてました。

デイビッドのやり方だと、スコップの上にぴょんと飛び乗って入る深さまで耕すのだけれど、それ以上深くは掘らないで、残った竹の根は、切って進んでいました。私が動線を乱す形で土を積み上げてしまったので、通り道と作物を育てる場所との配置関係を、土をならしながら教えてくださいました。
丸くはないところも、くねくねと曲線状に畑を作っていて、思わず、「和裁は直線、洋裁は曲線」というのを思い出しました。一度だけ耕したら、その後は手を土にもぐりこませて、竹の根や太い棒などのかたまりを除いたあと、子どもが浜辺で砂山を作るように、斜めに細かく、手のひらを使って畝を立てていくのでした。でんでんむしの殻にある模様みたいなかんじです。

この日は、できた畝の上に、みんなでベビーオニオン(らしきもの)を移植していきました。そばも植えておられたけれど、撒き時期が遅かったので、今年は実はできないだろう、とのことで、ひょろひょろ赤い茎だけが目立っていました(ちなみに私も家であまったそば種を蒔いたのですが、花を咲かせるところまでいけませんでした)。
手はざらざらになっちゃうけれど、できるだけ軍手をせずに土に触ったほうが、どんな土なのかよくわかるから、そのままの手のほうがいいのだ、とおっしゃって、スコップを入れた後は、素手で作業していらっしゃいました。
夜は、採れたて野菜でご飯を作って、みんなで食べました。
手動の搾油機や製粉機を、いろんな団体と共同購入できたらいいね、なんて話もちょっとしました。蜂はやはり大切で、箱を用意して蜜蝋を塗っておけば蜂は寄ってくる、ぜひやってみるようにということでした。
部屋に干してあったホーリーバジル、ベビーオニオンもそうですが、漢方薬として使えるものをたくさん育てていらっしゃるようでした。
抗生物質をはじめとして、デイビッドさんは西洋医学をずいぶん批判していらっしゃいました。
これまで東京でデラックス、スーパーデラックス(
http://www.super-deluxe.com/)をやってきたデイビッドさん、今度はここで、ゲストハウス(生活空間)と農とアートとイベントスペースがぜんぶ組み込まれたような“イナカデラックス”をやりたいと何度もおっしゃっておられてました。
とにかくデイビッドさん、生き生きしてました。彼とお話しするのは心地よく、畑もお家も居心地よく、楽しい一日でした。育てることや再利用するってことは、たいへんなところもありまくりなのだけれど、楽しもうと思えば楽しめることであって、せっかくなら楽しめるだけ楽しまなきゃ! という気にさせられました。
(しかし、帰り道すがら、1965年に独立する以前を生きてるシンガポールの人びとの反日感情、対称的にワナビー日本&アメリカなアジアの若者文化と徴兵制度、マレーシアのゴムやパームのプランテーション、白人じゃないという理由でいわゆる黄色人種である彼らから英語を学びたがらない日本人の話なんかを常連のお客さまたちに聞いて、帰ってからしばらくはすっかり、そういうことで頭がいっぱいになってしまったのでした。)
(以上 報告:オグラユウコ)